災害発生時におけるアマチュア無線の役割について

横浜市アマチュア無線非常通信協力会 竹内俊晴

  1. 非常時の情報伝達訓練

    「区役所災害対策本部、こちらは鳥が丘小学校・地域防災拠点です。ただ今から情報伝達訓練を開始します。・・・」

    これは毎年実施される地域防災訓練会場において、集まった皆さんの前で行われるアマチュア無線による非常通信訓練の ひとコマです。

    横浜市には「アマチュア無線非常通信協力会」が50年前から結成され、市との間で協定を結び、活動を続けています。 本部の外、市内全区に支部がおかれ、総数900名以上の会員が登録されています。 戸塚区にも45名の会員が在住し、各地区ごとに実施される地域防災訓練に参加して 情報伝達業務に協力しています。いずれもボランティア活動として行っています。

  2. アマチュア無線の役割

    横浜市は全区役所にアマチュア無線局を設置しており、災害発生時には協力会の会員がかけつけて、各地域防災拠点との間で情報伝達が行われる手筈になっています。無線通信としては市防災行政無線や消防、警察などの連絡網がありますが、アマ チュア無線は地域における「草の根情報」を広く集めて、きめ細かく伝達する役割があります。

    携帯電話も災害時につながり難くなったり、復旧に時間がかかるのが通例です。 その点、アマチュア無線局は局数が多いですし、無線機の出力も大きく伝達範囲が広く、即応できるのが特徴です。 又いざという時の通信周波数 (144Mhz,430Mhz) を予め取り決めて、日頃から通信訓練をかねて相互に連絡を取りあっています。 更に、これらの通信は“同報性がある”という特徴があって、一つの局の電波が同時に他の局で受信できますので、情報伝達の機動性が極めて高い通信手段です。 戸塚区の場合、三十五か所の地域防災拠点に同時に情報が伝わります。

  3. 伝達する情報は

    災害対策本部へ伝達する情報は、信頼される確度や内容をともなう必要がありますので、区役所担当課や関係者間の事前の取り決めが必要です。即ち交信手順、伝達項目など周知をはかっております。 一般的な通信内容は次のような事項をまず想 定しています。


  4. 自治会との連携

    防災避難訓練のみならず、実際に災害が発生した場合に役立てるように自治会組織、特に地域防災拠点運営委員会との連携は不可欠です。自治会役員は年々交代されることもあって、私たちもその関係維持に気をつけております。

    幸い、私たちの鳥が丘自治会においてはその事務引き継ぎがしっかりされていて、ここ二十年近く連絡が途切れたことはありません。避難訓練当日の訓練シナリオの中に、いつも「情報伝達訓練」が折り込まれております。

    更に、拠点(鳥が丘小)に設置されている 防災倉庫(備蓄品倉庫)内には、アマチュア無線局運用のために、三脚付伸縮 ポール、アンテナ(GP)、同軸ケーブル、電源コードリール、エンジン発電機等が常備されて、私たちが無線機を持って駆けつ ければ、短時間のうちに運用が可能な体制になっています。これは全国的にみても特筆すべき対応策であり、長年の実績の積み上げで可能になった装備といえます。これらの機材の維持管理も大切であることは言うまでもありません。

    私たち非常通信協力会のメンバーは活動に際し、すこし目立つ色の「防災無線」ジャンパーを着用しています。今後とも 地域の皆様から信頼される、頼りにされる要員として努めてまいりますので、何とぞよろしくお願い申しあげます。

以上

(注)上記の原稿は、鳥が丘自治会会報に掲載し、自治会におけるアマチュア無線の
役割周知を目的としたものである。 平成23年2月 記  JM1MNW  竹内俊晴